その先へ〜私的吉井和哉小論〜

えーと、話は少し前のことになりますが、年末、吉井和哉のライブを見に行ってきました。武道館の一番後ろだったんだけど、それでもすっげー楽しくて、なんか終わった後に幸せになれるようなライブだったかな。

イエモン解散からYOSHII LOVINSONを経て吉井和哉へとたどり着くまでをずっと見てきたものにとっては、今回のツアーで吉井が「ロックスター」に回帰したことはすごいうれしいことではあるし、すっげーワクワクすることでもあるんだけど、LOVINSON時代に見せたあの叙情的な作品をもっと聴きたいなぁとも思う。ソロの最初のアルバム『at the BLACK HOLE』はあんまり評価されてない気もするけど、俺は聴けば聴くほど深みにはまってく名作だと確信してる。ロッキング・オンの渋谷が発表当時に「吉井和哉の手がけたアルバムの中でも一番」という評価をしてたけど、今ならその評価も納得できる。

結局のところ、イエモン時代の吉井和哉は「ロックスター」であることにどこか疑問を持ちながら「ロックスター」を演じてたのかもしれない。その疲れがイエモンの解散にもなにかしらの影響を与えたのかもなぁとも思う。で、解散後に再び自分を見つめなおした末に生まれた作品が『at the BLACK HOLE』だった訳で、そこにはあの当時の「吉井和哉」がまんま表れてたのかな。まぁ、なのにYOSHII LOVINSONって名乗らなきゃいけなかったってところに吉井のひねくれ具合がでてるんだろうけど。

で、そこからの吉井の活動は一言で言えばリハビリなんだろうな。そのリハビリの中で「やっぱ俺ってロックスターじゃん!」って気づいたんだろうな、吉井は。

もちろん、そのリハビリ中の作品だって傑作だと思う。『WHITE ROOM』は前作へのセルフアンサーという意味で捉えるべきアルバムだろうし。

まぁ、そんなこんなで今回のツアーなんですが、イエモン時代の曲もあり、ストーンズビートルズ、デヴィット・ボウイのカバーもあり、もちろんROVINSONの曲もあり、本人曰く「吉井和哉の集大成」らしいんだけど、その文句の通りのツアーだったね。俺の行った日はアンコールで『JAM』まで歌ったし。

こういう吉井の姿を僕は待ってたし、矢沢永吉みたいな存在になれるのは吉井だけだと今でも思ってるんだけど、LOVINSON時代がなんかもったいないなぁって気がする。あのどんよりとしつつどこかで希望の見えるような世界が結構好きだったんだよね。

まぁ、でもこーなったからには仕方が無い。ロビンにはどこまでも突っ走って欲しい。
俺もどこまでもついていこう。