なつかしシリーズ

9年前に書いたイエモンのドームライブのDVDのレビューを発掘したので再掲。ミクシィにあったのだけど、懐かしくてちょっと涙出るわ。


今更、ずいぶん前のDVDのレビューを書くことには少し抵抗もあるのだけれど、吉井和哉が先日のツアーの最終日に『バラ色の日々』を歌ったという話を聞いて、改めてこのDVDについて書きたいなと思ったので…。

いわずも知れたイエモンのラスト・ライブのDVD。まぁ、ライブが行われたころはこれがラスト・ライブになろうとは夢にも思わなかった…なんてことは嘘で、40%ぐらいは戻ってこないかもと思っていたし、実際彼らは帰ってこなかった。

このDVDは解散が発表されてから発売されたのだけれど、そういう見方をすれば「あぁ、やっぱり」という印象はどうしても感じざるをえない。
演奏も、パフォーマンスも、いつものようにカッコいいのだけれど、どこか空回りしているように感じる。
別に「どこがそうなのか?」と聞かれても具体的には答えられないし、東京ドームというあまりにも巨大な空間ゆえにそう感じたのかもしれない。

だけど、だけど…やはり吉井が無理に明るく振舞っているように見えてしまう。

THE YELLOW MONKEY」というバンドは吉井和哉が支えていた…というと語弊があるかもしれないけれど、実際そうだと思う。
確かに、エマもヒーセもアニーもいないイエモンなんて考えられないけれど、バンドが転がってく上で吉井和哉にかかる重さがやはりほかのメンバーよりも重いものだったのは間違いない。そして、それゆえに彼はイエモンを愛していたのである。その吉井があんな表情を、態度をしていたのだ。動きが止まるのは時間の問題だったのだろう。


また、このライブの選曲は直前からのアルバム『8』からのものが多かった。普通に考えれば、アルバムのツアーもやらなかったから、そこからの曲を多めに演奏したということなのだろうが、うがった見方をすれば、昔の曲がしっくり来なかったのではという考えも浮かんでくる。
吉井はライブの中で昔の曲のリハも行ったが、結局はやりたい曲、意味のある曲を選んだと話している。ファンの心理からすれば、『8』の曲はそれほどイエモンにとって意味のある曲には思えない。もちろん、『8』というアルバムも僕は好きだが、もっと大事な曲はいっぱいあるんじゃないの?という疑問があったのも事実である。
つまり、今のイエモンにとって『8』はファンが思っている以上に大きな意味のあったアルバムであったということだろう。

では、その大きな意味は何なのだろうと考えたときに、やはり「解散」の二文字が頭に浮かんでくる。
今思えば『8』というアルバムは、それまでのイエモンの曲よりもYOSHII ROVINSON、つまり吉井のソロ作品に近い存在のように思える。
いわば、『8』というアルバムはイエモンというバンドがすでに限界だったということを証明するものに他ならなかったのかもしれない。

ただ、やはり、終盤の『真珠色の革命時代』で見せた吉井の笑顔は心の底からのものだったろうし、『悲しきASIANBOY』の冒頭で吉井がおなじみ「THE YELLOW MONKEY」と書かれた電飾に向けて
したお辞儀(?)にはいろいろな意味が込められていたのだろう。

よくまぁ「後出しジャンケン」でここまで書くなぁとも自分でも思うが、いずれにせよ、イエモンがもういないことは事実であるし、吉井がソロで『バラ色の日々』を歌ったということは、ある程度のけじめが吉井のなかでされたことを意味するのだろう。
そういえば、最近のインタビューでそんなことも言ってたかなと今ふと思った…。

最後に、なんだかんだ言っても、このDVDは僕は大好きです。『悲しきASIANBOY』の曲にあわせて振られる何万人の手をバックに歩く吉井の姿はまさに圧巻であるし、紙ふぶきの中で歌う吉井はほんとにカッコいいのだから。